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◆OSPFの特徴・エリアの概念

※動作確認は、Cisco2500、Cisco1720、Cisco1721、Cisco2611、Cisco2650、Cisco3620シリーズのルータ、Catalyst2900、Catalyst2950シリーズのスイッチなどで確認しています。コマンド、出力結果、動作は、機種、IOSのバージョンで異なる場合があります。
 資格取得が就職、転職、派遣に有利なのは確かですが、「資格=即戦力」とは言えません。実機を操作して資格取得と同時に就職・転職・派遣後に求められるエンジニア(仕事・ジョブ・ワークの達人)としての即戦力を養いましょう。

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◆OSPFの特徴・エリアの概念

◆OSPFの特徴

 OSPFは、IETFによって標準化されているリンクステート型のルーティングプロトコルです。Ciscoが独自に開発したEIGRPと違い、Cisco社製のルータ以外のマルチベンダのルータ間でルーティングが可能です。OSPFの大きな特徴の一つに、エリアの概念があります。


●エリアの概念

 OSPFネットワークでは、小さなネットワークを1つのエリアとして設定し、複数のエリアをエリア0(バックボーン)に接続することで、ネットワークを階層構造に構築することができます。エリアを単位とし、グループ管理する設計アプローチによって、ネットワークの変化をエリア内に留め、パフォーマンスを向上させています。その結果、コンバージェンスの時間が短縮されます。

 各エリアは、必ずエリア0(バックボーン)に接続しなければなりません。複数のエリアを接続するOSPFネットワークのことをマルチエリアOSPFと言います。CCNA試験では、エリア0(バックボーン)のみで構成されるシングルエリアOSPFが試験範囲になっています。


※正確には、各エリアはABRによって接続されます。


 OSPFは、RIPやIGRPなどのディスタンスベクタールーティングプロトコルと比べ、大規模なネットワークを構築することができます。

しかし、ネットワークの規模が大きくなってくると、問題が浮かび上がってきます。

 そもそも、OSPFは、最短パスを求めるのに計算にダイクストラのアルゴリズムを使うルータへの負荷がとても高いルーティングプロトコルです。ルータのCPUやメモリ資源をかなり消費します。ネットワークの規模が大きくなると、ますます、ルータへの負荷が高くなってしまいます。

 また、ネットワークの規模が大きくなるということは、障害やネットワークの変更が発生する可能性が高くなるので、頻繁にSPF(最短経路優先)の再計算が必要になってきます。

 さらに、ルータの数も増えることになりますから、トポロジーデータベースを構築するためにルータ同士が交換しているLSAの数も増えてしまします。

 そこで、OSPFでは、ネットワークの規模が大きくなる場合には、上の図のように、ネットワークを複数のエリアに分割してマルチエリアでネットワークを構築します。

 OSPFネットワークでは、小さなネットワークを1つのエリアとして設定し、複数のエリアをエリア0(バックボーン)に接続することで、ネットワークを階層構造に構築することができます。このように、1つのネットワークを複数のエリアに分割し、各エリア内とエリア間のルーティングとに分けてゆく方式を「階層型ルーティング」と呼んでいます。

 このエリアを定義する設計アプローチによって、LSAが届く範囲を分割することができ、ネットワークの変化をエリア内に留め、パフォーマンスを向上させることができます。

 上でも説明しましたが、OSPFでは、各エリアを必ずエリア0(バックボーンエリア)に接続しなければならないというルールがあります。エリア0以外は、必ず、このバックボーンエリアに接続しなければなりません。CCNAの試験範囲であるシングルエリアOSPFについては、必ずエリア0だけで構成するというルールがあります。


●ルータタイプ

 OSPFルータは、役割に応じて、ルータを3つのタイプの名称で呼んでいます。その役割によって、送受信するアドバタイズの種類や、SPFツリー情報が異なってきます。



●Internal : 内部ルータ(Internal Router)

ルータの全てのインタフェースが同一エリア内のルータしか接続していないルータ。他エリアには、接していません。

●ABR : エリア境界ルータ(Area Border Router)

他のエリアへ接続されたインタフェースを持つルータ。

ASBR : AS境界ルータ(AS Boundary Router)

 他のASや、OSPF以外のルーティングプロトコルを使用しているネットワークへ接続しているインタフェースを持つルータ。


◆LSA

 シングルエリアOSPFでは、特にLSAの種類に関して、あまり意識する必要はありませんが、マルチエリアOSPFでは、非常にたくさんの種類のLSAを交換します。どんなタイプのLSAがあるのかを把握しておく必要があります。

 下にどんなタイプのLSAがあるのか、いくつかを紹介しておきます。LSAタイプの種類が多く、解説書、各ベンダーのマニュアルで名称の呼び名が違う場合があります。マルチエリアOSPFでは、LSAタイプの理解が必要になってきます。

タイプ 名称 生成ルータ 範囲 説明
1 ルーターLSA 全OSPFルータ エリア内 エリア内にあるリンクの情報。全てのルータが生成し、通知範囲はエリア内に限定される。
2 ネットワークLSA DR エリア内 マルチアクセスネットワーク上の代表ルータ(DR)が生成します。DRのIPアドレス、ルータID、同じマルチアクセス型ネットワーク上のルータIDのリスト、サブネットマスクを通知します。通知範囲は同じエリア内に限定されます。
3 ネットワーク
サマリーLSA
ABR エリア内 エリア間のネットワークへの経路情報を通知する。エリア境界ルータ(ABR)が生成し、通知範囲はエリア内に限定されます。デフォルトルート、集約ルートを通知することができる。
4 ASBRサマリーLSA ABR エリア内 非OSPFネットワークへ接続するASBR(AS境界ルータ)のルータIDとASBRへのメトリック情報を通知します。ABRが生成し、通知範囲はエリア内に限定されます。
5 AS外部LSA ASBR スタブエリアを除くOSPFドメイン全体 非OSPFネットワークへの経路情報を通知する。ASBRが生成し、スタブエリアを除く、OSPFドメイン全体に通知されます。AS外部ルートのメトリックは、固定で通知することも、増加させて通知させることもできます。
7 NSSA外部LSA NSSA内の
ASBR
NSSA NSSAエリア内のASBRによって生成されます。タイプ7LSAは、NSSAエリア内だけにフラッディングされます。そのためNSSA内のABRがLSAタイプ7をLSAタイプ5に変換してOSPFドメイン内に通知します。

※LSAタイプ6も存在しますが、これは、マルティキャストOSPFルータによってフラッディングされるものです。ここでは、省略します。

 次の「OSPF(経路学習プロセス)」では、OSPFが最短経路を学習して、ルーティングテーブルに経路をするまでのプロセスを紹介します。

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